映画『ゆるり、どんどん、まわりみち』を撮りました。
by Ganmen1281
監督・脚本を担当しています。
武木田樹の初監督作品です。林竜一との共同監督作品でもあります。
学生時代の卒業制作ですが、特に日の目を浴びる事も無く、ひっそりとネットの海を漂っています。クオリティは折り紙付きです。
世に露出する機会には恵まれず、僕が制作したあらゆる映像の中で最も人目に触れていないと言っても過言ではないと思っています。
折角なのでリンクを埋め込んでおきます。
さて、撮影に関わる裏話など…。
シナリオとしては、壊れたPCの修理を依頼された修理工が、かなり堂々とサボりを働くという、要約するとクソくだらない意味不明な映画になるのですが、肝心の『壊れたPC』の調達に失敗しました。壊れていると思って持ってきたのにも関わらず、撮影中電源を入れると、普通に起動しちゃったんです。
しかもよりによって三国志Ⅱ。雰囲気に合わなさすぎる!という事で片側のフロッピーを抜き取り、DOSの起動画面で誤魔化す事に。
なんちゃってエピソードです。
技術的な点で注目できるのは、カメラが民生機であるという点。殆どのショットはZV-E10Ⅱによって撮影されています。記憶の限りだと、レンズもママだった様な。
手紙を最初に広げて、ズームしていくシーンに関しては…α7だったような(レンズはバチボコに改造されている)。ショットの良さを重視した映画ではありますが、特に高級な機材を使用したという訳でもないのに鑑賞に堪えうるだけの絵になっていたのでは無いかな?と思っています。
ブラックマジックとか、業務用シネマカメラを利用するチャンスでもありましたが、ここでは使用されませんでした。
更に注目したい、ファーストカット。4K24Pでの撮影ですから、そもそも動きのあるファーストカットを如何にスムーズに撮るかという部分が、ある種挑戦ではありました。カクカク感をどう調節するかは現場で確認しつつ、ベストなタイミングで止めたつもりです。
手ブレの側面で言うと、ジンバルに乗せている訳ですから、基本的にはブレのないスムーズな絵になっていますし、見やすいと言えば見やすくはあるのですが、屋内にシーンチェンジするのを全てワンショットで行っている演出的都合上、カメラマンには屋内突入時に露出を一段階下げてもらう必要性がありました。
ワンショットであるが故に照明のアシストも受けられず、カメラマンが苦心の末作り出したショットです。
照明に関しては、正直を言ってしまえば、演出上大きく殺してしまっている部分でもあります。というのは、暗さを前面に出したい都合上、当てるモノ、当てないモノを考えて、その明暗を分ける程度の作業しか行えなかったのです。現場の色は、結局カラーグレーディングで大きく変える事にもなりました。
ただ、ラストカットのPCが置かれているショットに関しては最高の照明であると考えています。色を変える事も無く(明度は落としている)、あそこまで抜群のショットが繰り出せたのは最高の一言に尽きます。
最も大きな問題は、やはり音響効果ですね。ある一定のクオリティは維持していても、発展的要素はありません。いくつも指摘を頂いています。如何にショットの良さのみに頼り過ぎていたかという部分を痛感しました。
僕に若干の色弱があると言うことをつい最近知ったので、編集工程の一つであるカラーグレーディングに関しては、全て編集者に回しました。ただ、異常にコントラストを上げたがる僕の性質を理解してくれていて、理想どおりの満足いく色合いになっています。
2025-03-08に、映画館『塚口サンサン劇場』にて公開されました。
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