Ganmen の 森

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TVアニメにはオープニングが無ければ始まりません。

Fate/stay night

監督:山口裕司 OPコンテ:武内崇

2006年、スタジオディーンによって制作されたアニメ版Fateの第一作。

同スタジオ劇場版Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS、続くUfotableFate/ZeroSILVER LINK.からFate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ…。あらゆるFateに関わるTVアニメシリーズの始祖たる本作のオープニングは、その放送年代に漂っていた空気感すら、時を越えて伝えてくれる最高のアニメーションと言えるのではないか。

原作とされるゲームが18禁のエロゲという文脈上、脳内によぎるのはAIRCLANNAD、あるいは沙耶の唄とかさよならを教えて~comment te dire adieu~みたいな、ある種独特の『空気感』。それをFate/stay nightもまた確実に持ち合わせている…。鑑賞し終わって、僕はそう思ったのだけれど、それはキャラクターデザインから過去へ思いを馳せるエモかもしれないし、ノベルゲー特有のヒロインへ性的な愛情を向けさせるシナリオから感じるものかもしれない。これをうまく言語化することはできないけれど、ただ、オタク・カルチャーがまだ影の存在であり、世相もまた、リーマンショックに同時多発テロ事件、末には政権交代が起きるなど、社会不安が浸透していた時代に、最盛期を迎えていたエロゲが、社会の様相と美少女の映り方、つまりギャップが…独特な空気感を持っているというのは、何となく共感してもらえるのではないだろうか。

何人ものライターが連ねてきたゼロ年批評の二番煎じみたいなことを語っても仕方ないし、空気感、空気感と連呼してもわからないので、じゃあこのオープニングの一体どこに惹かれたのかという話を。

音楽的な諸要素に関しては、実は原曲があり(THIS ILLUSION)、これを川井憲次氏が編曲し、disillusionとしてタイナカサチが歌唱。この編曲は好みが分かれる部分ではあるのだけれども、TVアニメFate/stay nightのオープニングは、確実にこれでなければ成立していない。川井憲次氏の作品から音を掴む技術には圧倒されるばかりで、stay nightの持っている、どことなく漂う寂寞感を確実に掴むだけではなく、寂寞感の中にある熱い燃えるような情熱を編曲によってもたらしている。単なる夜の雰囲気にとどまらない音楽は、他の追随を許さない出来になっている。

映像的にはある種のテンプレートに沿っているとも言える本オープニングは、キャラクターにそれぞれ見せ場のようなカットが用意され、思わせぶりな敵っぽいキャラのショットで短く刻んで…という、一見目新しさを見つけずらい構成だ。

原作であるゲーム版の構成を見て欲しい。

こちらの制作はあまり知られてこそいないもののタツノコプロ。コンテは同じく武内氏が担当している。ゲーム版は攻略ルートがそれぞれ3つあり、その全てを拾った包括的なオープニングとして、コンパクトにまとまった良質な映像になっている。

さて、TVアニメでは3つのルート全てを映像化する訳ではなく、ゲームで最も最初にクリアすることになる『セイバールート』が映像化されている。

TVアニメのオープニングを振り返って観た時、前半、メインヒロインである少女セイバーは一切登場しない。ゲーム版のオープニングでは、開幕登場したのにも関わらず、である。初見では「あれ?なんかメインビジュアルのあの娘いなくね?」となる事必至だ。というか僕も思った。

「跳び込んでいけ夜へ」タイナカサチの伸びの良い美しい歌声に合わせて主人公である衛宮士郎が手を大きく広げる。接写から広角、背景も大きくパースがついて非常に大胆なカメラワークに。アニメーションの魅力をここぞとばかりに展開。

直後「誰かの為に生きて、この一瞬が全てでいいでしょう」。セイバーが瞬き、野に佇む。このワンショットで視聴者はまず「ああ、彼女がヒロインなんだな」と確実に理解する。それに値する美しさを、そのショットは持っている。それまでに一切、画の中に登場していない事が、よりそのショットに拍車をかけているのだ。これが決定的に他のオープニングと異なる革新的演出だ。

主人公格のキャラクターを曲の大サビまで一切登場させないという構成を作り出した制作陣には頭が上がらない。

武内氏のコンテには、先述した通りテンプレートとも言うべき演出論が多く盛り込まれた、昭和の作風を色濃く受け継ぐものだ。しかしながら、単なるテンプレートに収まらず、発展的に構成論を整えた本オープニングは、影響を受けてきた昭和世代からの躍進という、まさにゼロ年代を色濃く象徴するかのような映像になっている。音楽がもたらす寂寞感と情熱が、真逆の様でありながらもシンパシーを感じさせ、サビに向けて盛り上がっていく映像がより完成度を上げる。その盛り上げに恥じない大サビのワンショットは歴史に残る。静かに終わる音楽で、物語の始まりを理解し、観賞が始まる。

この一体によって、Fate/stay nightは初めてあの『空気感』を維持できるのだと思う。


小市民シリーズ

監督:神戸守 OPディレクター:イシグロキョウヘイ

2025年春アニメとして突如現れた怪作オープニング。制作はラパントラック。リアルタイムで視聴中に、思わず声が漏れてしまうほど、すさまじいパワーを持っていた。

本作は2024年に放送された小市民シリーズ第一期(春季限定いちごタルト事件)(夏季限定トロピカルカフェ事件)の続編となる作品である。原作小説の作者は米澤穂信。ジャンルは学園ミステリーで、詳細は省いてしまうが、ともかくインパクトのある作品である。

さて、本オープニングで目を見張るべき点は、何よりもイメージショットの正確性だ。

しばしばアニメのオープニングには、音に合わせてカットを刻む為に『意味なしの画』が挟まる事が多い。おいおい、かっこいいけどその動きは何なんだよ、みたいな。究極例を出すとコードギアス 奪還のロゼのオープニングが分かりやすいかもしれない。ビジュアルと省力化を優先するばっかりに、絶妙にノリきれない感じ。突き詰めると刻々のオープニングのような洒落た画になるけれど、かえってサカモトデイズの様になってしまう可能性もある。

外れ地としてアンダーニンジャ

本オープニングは、それぞれのショットが一見成立していない『意味なし』の乱立であるかのように見える。勿論、突き詰めれば意味なしで、作中に彼ら彼女らがこのショットにあるようなポージングをしたりといった事は一切ない。だから『イメージショット』となる訳だけれど、この乱立を鑑賞し終えた後に、ぼやけていた虚像が、輪郭を伴って実像となる瞬間が確実に存在するのだ。

というのは、そのショットが持つ奥ゆかしさ。つまり、視聴者への委ね方の上手さなのだ。意味を持っていないようで、持っているようにも見えるという作りは非常に巧妙で、その隙間の作り方が全く下手ではない。つまり、違和感なくイメージショットの乱立を通して観る事が出来るし、尚且つデザイン的にも凝っていて、オープニングとしての洒落を維持している。どのカットを取っても作中の出来事を示しているようにも見えるし、そういった抽象性を持たせる演出で、ここまでクオリティとのバランスを保ったオープニングは珍しい。

シネスコが持つ魅力にも注目したい。僕の知り合いのとある業界人は、本作がシネスコである意味が分からない、ただリッチに見せたいだけなら、横に広すぎるんじゃないかという話をしていた。

作中劇において、シネスコが持つ意味は何なのか。TVアニメの中でシネスコ込みのレイアウトを決められる人間は確かに少ないかもしれない。実際、第一期においては、バッチリ決まった演出で上手くいっていたかと言われると、首を傾げる部分も多かった。

第一期オープニングの、シネスコの帯の外側からフレームインする狼達のショットも、個人的にはそこまで映えた演出だとは思えなかったけれど、シネスコである事を制作陣は意図的に選んでいる事はこれを観れば明らか。正直、第一期のオープニングにはそこまでの魅力を感じなかったのだけれど、第二期のオープニングを観て、横転。

横転を通り越して、側転。

細く締まった画面に美しくハマるレイアウト。色彩感も増え、大胆なカメラワークや、時折挟まる実写の画には、バッチリとシネスコが収まっているように思える。映画的で、それぞれのインパクトがきちんと増長されている。第二期オープニングには、その効力を遺憾なく発揮していると思う。

ヨルシカの『火星人』もまた、このオープニングに無くてはならない存在として成立している。音の数が少なく、シンプルに聞こえるこの曲のメリハリは、アニメ的な『静』と『動』の感覚に最も近い。

「穏やかに聴いていたい」と、静かな街の様な実写映像のイメージショットから、丸い球体へ。淡々と日々を送る『小市民』的な感性を象徴しているかの様な場面から、突如として激動のサビが訪れる。

「休符」と流れて球体は波紋に流れを変える。「あぁ わかってください」、そう言って主人公、小鳩常悟朗はベッドに倒れ込む。カメラもそれに追従し、主観的でありながら客観的な視点を作る。一心同体、ヒロイン小山内ゆきもまた、同時にベッドにぽすんと倒れるのだ。この一連のショットの乱立を取っても、小市民を目指した二人の関係が極めて詩的に表現されている事は明らかだ。これらのシーンは、確実に『火星人』にあるメリハリが無ければ成立していないと言えるだろう。

各種リンク

https://www.fatestaynight.jp/

https://www.fate-zero.jp/

https://x.com/prisma_illya

https://www.tbs.co.jp/anime/air/

https://key.visualarts.gr.jp/product/clannad/

https://www.nitroplus.co.jp/game/06-song-of-saya/saya.php

http://craftwork.product.co.jp/CATALOG/adieu/ADIEU.html

https://tatsunoko.co.jp/

https://www.youtube.com/watch?v=7-dobM54SSg

https://open.spotify.com/intl-ja/artist/4ObvA097FfnbrTm3Uepano?si=EpiD0etYTKG1glcv4W7iHQ

https://tainakasachi.site/

http://pandreamium.sblo.jp/

https://www.youtube.com/watch?v=5zRfzTVcHKU

https://www.youtube.com/watch?v=fhBA6ynorvc

https://www.youtube.com/watch?v=zkOYWw0u8as

https://youtu.be/1O5bALsN2uY?si=RM45SMIBXFoDEvDc

https://open.spotify.com/intl-ja/artist/4UK2Lzi6fBfUi9rpDt6cik?si=EmAjPvW9StegIg2J0yQqOg

http://lapintrack.com/wp/

https://www.deen.co.jp/

https://www.ufotable.com/

http://www.silverlink.co.jp/

Ganmen1281

Ganmen1281

生まれも育ちも兵庫県南西部・播州。
10代の青春をアニメ・特撮・映画に捧げるも、特に報われることもなく20代に突入する。
映画に捧げた青春は映画に返してほしかったので、ビジュアルアーツ専門学校入学。
特に返ってくることもなく、卒業。
現在は映像制作者・Youtuber・DJ・ライターとして活動中。

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